妖だって恋がしたい!!
はじめのいっぽ
私は、一ノ瀬小豆。

至って普通の高校2年生だ。

ただ、ひとつだけ他の家庭とは違う部分がある。

それは…

「小豆!供物を奥の部屋へ運んでおくれ!」

『はい!!』

私の家が、山の奥にある神社だということ。

祀っている神様は、お稲荷様だと聞く。

たかが狐の神様ごときに何故お供え物をやらないといけないのだ、とぼやきながらも、私は毎日巫女仕事を全うする。

毎日毎日、帰ったらひたすらに神社の中を歩き回る。

私だってたまには寄り道して、友達とだべったりしたいのだ。

『…いや、その前に友達がいなかった…』

入学式当日にインフルエンザにかかり一週間欠席。

その結果、女子のグループに入ることは出来なかった。

こんな悲しい事があるだろうか。

普段頑張っているんだから、お稲荷様が治してくれても良かったんじゃないかとつくづく思う。

『私だって恋がしたいよおおおっ!!!!』

境内に出て、鳥居の前の石段でそう叫んだ。

「何してんじゃ小豆!!!うるせぇわっ!!!」

『ひいっ!!すみませんおじさま!!!』

木では小鳥が囀り、池では鯉が優雅に泳ぐ。

今日もこの街は、平和である。
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