手紙とノートと桜の記憶
桜の見える教室で



「奏、おはよう!」
「おはよう、心結(こころ)」
親友の山口心結は幼稚園からの友達。
高校に進学してもきっとこの関係は変わらないはず。
「他校のイケメンいるかな?超楽しみ!」
「えっ、イケメン重視なの?」
心結を横から見ているだけで瞳の輝きが見てとれる。
「そうだね、あった!クラス表。・・・2組だ!奏も一緒!」
「やったぁ!今年はよろしくね!」
私達はシワひとつないプリーツスカートを揺らしながら喜びあった。
その時、チャイムが鳴り慌てて教室へと向かった。
緊張した面持ちの私達の教室に入ってきたのは若い女性だった。
「「おはようございます」」
「今日から1年間1年2組の担任になりました、高崎綾歌です。教師2年目ですがよろしくお願いします」
教師2年目。若いのに先生なんだ。
私ともそんなに年が変わらないだろうな。
「じゃあ、番号順で廊下にならんで体育館に行くよ。トイレとか、身だしなみとかの時間とるけど早めにね」
先生の一言にクラスの皆はざわざわと動きだした。
「トイレ行く?」
「ううん、大丈夫。心結は?」
「大丈夫かな。出席番号早いからもう並んじゃおうかな」
心結は藍沢という名字なので出席番号一番、そして私は一倉なので二番。
間に知らない人が入らなくて良かった、と密かに思う。
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