元姫
「みー、ちょっと向こうで休も?」
陽は私の気持ちをわかったのか、私の手をとりジュエリーショップからどんどん離れていく。
「よ、う…?」
聞こえてるはずなのに、何も言わない。
ただ、まっすぐ前を見て歩いていた。
陽は私をジュエリーショップから見えないベンチまで連れてきてくれた。
「ほら。これ飲んで休みな」
徹…。
私は徹からお茶を受け取ると少しだけ喉に入れた。
「ありがとう」
ちゃんと笑えてるかな。
「みー…」
真人が悲しそうに呟いた。
違う。
そんな顔をさせたくない。