元姫
今まで我慢してたんだろう。

私達は何も言わず車まで向かった。
外に出ると雨が降っていた。

天気予報は言ってなかったのにな。
雨を見ていると、私達の心を表しているみたいで、気持ちが沈めば沈むほど雨の勢いが増している気がした。

幸い、入り口の近くに車を停めていたからあんまり濡れなかった。
すぐ助手席に座り濡れているところを拭いた。

「はい、にぃ」
「ありがとう」
私からタオルを受け取ったのにじーっと見ている。

「どうしたの?」
と、聞いたら…。

「いてっ」
にぃにデコピンをされた。
軽くだけど…。

「暗い顔しすぎ。俺らがそんなんだと父さん起きないよ」
そんな暗い顔してたかな…。

確かに、私らが暗くちゃダメだよね。
「ありがとう、にぃ」
「ん。よし行くか」

私が笑顔になったのを確認してアクセルを踏んだ。

また2時間の道のりをかけて帰り、着いた頃には21時半を過ぎていた。
ささっとご飯を食べて、今はお風呂に入ってる。
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