元姫
どうしてもその話に触れてほしくないのか、無理やり話を変えた。
今は陽の機嫌は直っていた。

「あ、そういえばね、とりあえず一命はとりとめたの」
陽には事故にあったとしか伝えてないからね。

「よかった。でもとりあえずってなに?」
安心したため息が聞こえたけどすぐ声が低くなった。

「実はね、目が覚めないの」
「え…」

想像してなかったのか、拍子抜けの声がした。
「2週間の間に目が覚めないと、もう…」

その続きが言えなかった。
でも、陽ならわかるだろう。

「一応言っておこうと思って…」
「そうか。言ってくれてありがとう」
陽の声が震えていた。

「ううん。急に電話してごめんね」
急に言ったら頭追いつかないよね。
「いいんだよ。悪いが切るな、ゆっくり休めよ。おやすみ」

「おやすみ」
私の声を聞くとすぐ電話を切った。

今日は早く寝よ。
部屋の明かりを消してベッドに潜った。
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