紅龍
Prolog
ある日、闇の中で荒れ狂う一匹の虎がいた



彼の背中はどうも、悲しみが漂っている気がした



彼にそっと近づき、振り下げようとした腕を掴む



"お前は何故喧嘩をしている?"



私がそう言えば、彼は私の目を見て



"そんなのムカついたからするにきまってんだろ"



そう言った彼の周りには、何人もの男達が倒れていた



"フッ…お前バカみてぇ

ムカついたから喧嘩する?笑わせんな"



そう言うと、彼は眉間にシワを寄せる
不機嫌なのか、彼からは殺気が感じられる



"そんなんで喧嘩をしたって、お前の心は満たされねぇよ"



"なら、どうすりゃあいいんだよ"



"お前にとって大切なモンを見つけろ
そして、それを守り抜ける男になれ"



彼は下を向いた


きっと、彼はもう大丈夫だろう
目に一瞬光が差し込んだから


そして、彼に背を向け
その場を立ち去った








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