こじれた恋の終わらせ方
「お父さん、麗華が帰ってきましたよ。」



母が扉を開ける。

そこには怒りに震える父がいた。


繋いだ手を見た瞬間、明らかに眉をひそめ、水野を睨みつけてる。



「さっき電話に出た男は君か?」


「はい。水野千尋と申します。」



「で、見合いの件で説明があるとか言っていたが、部外者の君が何の用だ?」


「部外者というのは語弊があります。」


「何?」


「見合いをぶち壊したのは僕ですから。」



そこで父の視線が水野から私に移った。



「麗華!この男と付き合っているのか?」


「え?いや・・・」



付き合っていないというのはこの状況では説得力がなさ過ぎる。

せめて手を放してもらえないかと頑張るが放してもらえそうにはない。



「お前は自分が何をしたかわかっているのか?

 津田さんに、失礼な態度を取って恥をかかせたらしいじゃないか?!

 ありがたいことに、許してくださったが、お前は私に恥をかかせるつもりか??!!」



父が一気にまくしたてる。こうなった父は人の話を全く聞かない。


「大体、津田さんのお父さんがどんな方か知ってるのか?大学の教授なんだぞ?

 お前は、そういう医師同士の繋がりとかわからんのだろう??!!

 わからないなら、黙って私に従えばよいものを、わけのわからん男を連れてきて、どういうつもりだ!!!」




「では、津田正樹という人物がどういう人間かご存知なのですか?」



いかり狂う父に水野が静かに問うた。
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