こじれた恋の終わらせ方
「だから、さっきから言っているだろう!!

 津田さんは大学教授の息子さんなんだ!!医師会にも顔が利く方で・・・」



「それは津田正樹の父親についてでしょう?

 僕は、津田正樹本人がどんな人物かご存知かと聞いているのです。」



「そんな立派な方の息子さんなのだから、立派な方に決まっているだろう!!

 現に、少し前まで大学病院に勤めてたんだからな!!」


「では、なぜ大学病院を辞めたかも、もちろんご存知なんですね?」


「それは、うちの娘と結婚して、うちの病院に入って・・・」


「まだ決まってもない見合いのために、大学病院を辞める本気で思ってるんですか?

 津田正樹は、1ヶ月以上前に病院を辞職しています。見合いの1ヶ月前ですよ?いくらなんでも不自然でしょう?」



「何が言いたい!」



「津田正樹は、看護師との恋愛関係がもつれて、自主退職したそうですよ。」



水野の言葉に、父だけでなく、母も私も驚きを隠せなかった。


「何を根拠にそんなことを・・・」



「津田の勤めていた病院では、みんなが有名な話だったそうです。」



「貴様!!見合いをぶち壊しにしたことを正当化するためにそんな出鱈目なこと!」


父は、水野の話が嘘だと決めつけて聞く耳を持たない。



どうしようかと母を見ると、母も不安そうな顔で私を見ていた。


すると、いきなり部屋のドアが開き、そこには驚きの人物が立っていた。



「そこの水野君だっけ?彼の言ってることは本当だよ。」



家と絶縁状態の兄が立っていた。
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