こじれた恋の終わらせ方
「お兄ちゃん!!」


「「康平!!」」


「母さん、麗華久しぶり。父さんも相変わらずだね。」



兄に会うのは何年ぶりだろう。


私とは少し歳の離れた兄の頭には、記憶の中の兄にはない白髪が混じっていた。



私と母を見ながらにっこりと笑うその眼尻には皺が刻まれていて、兄と会っていない時の長さを実感した。



「康平!!今更何をしに来た!!」


「ホント、父さんは相変わらずだね。怒鳴れば優位に立てるとでも思ってるの?」


「何だと!!」


いきなり兄は父に喧嘩を売り始めた。



「僕が今日ここに来たのはね、そろそろちゃんと話し合おうと思ったからだよ。

 ほっておくと、妹がとんでもない奴と結婚させられそうだったからね。まぁそれもそこの彼のおかげで助かったみたいだけど。」



「お前には関係ないだろう!!」



「関係ないわけないだろう?

 びっくりしたよ。どこかの大学病院で看護婦をストーカーしたり恐喝まがいなことした男が同僚に、自分は九条総合病院の娘と結婚して院長になるんだって言ったって聞いて。

 なんでも、父親の力で揉みそうとしたらしいけど、やっぱり同じ病院内までは抑えきれなかったみたいだね。病院中に広まっていづらくなったんだね。

 もうそこでは、働けなくなって自主退職する前に、自慢げに言ってたらしくて、僕の実家が九条だって知ってた奴がわざわざ教えてくれたんだよ。

 父さんは、そんなトラブルまみれの奴を九条の跡とりにするつもりだったの?」



「何をそんな出鱈目なことを・・・」



「出鱈目なわけないだろう?それこそ、あの津田教授のご子息なんだよ?

 出鱈目で流せる噂じゃないよ。」



「・・・・」



兄のことばに父はやっと口をつぐんだ。
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