こじれた恋の終わらせ方
「水野君だったね。麗華を助けてくれてありがとう。」


「いえ。僕は何も・・・」



「いいや。君がいなかったら、麗華はどうなってたか。

 こう見えて、気が強い方じゃないからね。知ってるだろう?」



「・・・はい。」



「じゃあ、麗華を連れて行ってくれるかな?」



「え?」

「お兄ちゃん何を言ってるの?」



「僕はちょっとこれからお父さんと話し合うから、麗華は出直して。」



「康平、お前自分が何を言ってるのかわかってるのか?」



「かわってるよ。僕だっていつまでたっても逃げてるわけにはいかないからね。」



「わかった。ついてきなさい。」



そう言ってお父さんは、私のことも水野のことも見ずにリビングを後にした。



「悪いね。父が失礼な態度で。」



「いえ、先に無礼だったのは僕の方ですから。」


兄がそういうと、水野は苦笑した。



「じゃあ、僕は父さんと話してくるよ。麗華、水野君またね。」



そう言って兄もリビングを後にした。



「水野さん、本当にありがとうございます。あなたがいなかったら麗華はひどい人と結婚することになっていたかもしれません。」


「いえ。僕は何も。」


母がそう言って水野に頭を下げる。



そんな母もそわそわと落ち着きがなく、兄と父がどうなっているのか気にしているのがわかる。


ここにいても、どうしようもないと思いつつも、水野と帰るのも気が重い。



いっそ、水野だけに帰ってもらう?なんてずるい考えが頭をよぎる。



「じゃあ、僕はそろそろ失礼します。」



「何のお構いもしなくて申し訳ないわ・・・」


「いえ、突然押しかけてしまったのは自分ですから。」


そう言いつつも母はやはり落ち着きがない。水野もわかっているのか足早にリビングを出ていく。


そして玄関で靴を履いた水野は母に言った。



「あの、麗華さんと話があるのですが・・・」



水野と目が合う。逃げれるわけがない。



私は、水野と帰ることになった。
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