こじれた恋の終わらせ方
私の少し前を水野が黙って歩く。



いろんなことがありすぎて今まで不思議に思わなかったけど、何で水野はあのホテルにいたんだろう?


そしてなぜスーツ?




グルグルと回る疑問を素直に聞ける雰囲気じゃない。



気まずい空気が漂って、涙が出そうになった。



こんなことになるなら、水野に抱かれるんじゃなかった。



きっとあんなことになってなかったら、どうしてあそこにいたかわからない水野だけど、助けてくれた水野に素直にお礼が言えて、今でも笑いあえてた。



我慢しようと思っていたのに涙が止まらない。


すると異変に気付いた水野が私を振り返った。



その顔が泣きそうで悲しそうで、私の涙はますます止まらない。


「この近くに公園とかある?」



「何で?」



「だって、俺の部屋に来るの嫌だろう?」



「そんなことない!」



「じゃあ、何で泣くんだよ?」



「それは・・・」



「俺、お前が好きって言ったよな?それでその表情ってことは・・・無理ってことだろ?」


最後の声は小さくて、それでもはっきりと聞き取れた。



私は思わず首を横に振った。



「麗華、はっきり言ってくれ。お前は俺のことどう思ってる?」


私は、どう答えればいいのか迷っていた。


好きだと本当に伝えてもいいのだろうか?


やっぱり昨日のは酔ったはずみで、水野は初めてだった私に責任を感じているだけかもしれない。



「はぁ・・・」


迷っていると、水野がため息をついた。



「好きじゃないなら、いっそきっぱり振ってくれ。」




そう言われて、もう嘘はつけなかった。



「好きよ。水野のことが好き。」



そう言った途端、水野に引き寄せられて、気づけば水野の腕の中にいた。
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