こじれた恋の終わらせ方
「お邪魔します・・・」


初めて来る水野の部屋は、広くて殺風景。必要最低限のものしか置いてませんって感じの部屋だった。




緊張で挙動不審になりそうなのを我慢しつつ、部屋に上がる。



「適当に座っといて」


そう言われて、リビングに置いてあるソファーに座わろうとして気づく。



「あれ?これうちのソファー?」



水野の部屋に置いてあったソファーはうちの会社のものだった。しかも、結構お値段するやつ。




「何で、まだ座ってないの?」



立ったままソファーを眺めていると、マグカップにコーヒーを入れた水野が戻ってきた。



「これ、うちのソファーだよね?」


「あぁ。」


「しかもさ、これ、結構高いやつだよね?」


「麗華・・・」




慣れない呼び方でを呼ばれて顔が熱くなる。



「家具が好きなのはわかるけど、先に俺に言わないといけないことがあるんじゃない?」



「えーと・・・今日は助けてくれてありがとう。」


「いーえ。どういたしまして。でもそれじゃない。」



「どうして、あのホテルにいたの?」


「それは、秘密。それより前のことで俺に言わなきゃいけないことがあるだろ?!」



・・・前?



「あ!!ゴメン!!勝手にスマホ触っちゃった!!」


「いや、それはそうなんだけど、問題は俺のスマホに何したかだろ?」



水野は、呆れ気味にため息をついた。



「朝、黙って帰った件ですか・・・」



遠慮気味に言うと水野は怖い顔でこちらを見ていた。



「とにかく、ソファー座って。座り心地は言うまでもないだろ?」



そう促されて、ソファーに座る。



程良い沈み込みと弾力。うんやっぱりうちの家具は最高。



と、思っていたら、後ろから抱きしめられる。

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