こじれた恋の終わらせ方
「お前、本当にわかってる?」


急に抱きしめられて身を固くする私の耳元で水野がささやく。



それだけで、私の鼓動はありえないくらい速くなる。



「緊張してると思ったら、ソファー見ながら興奮してるし、名前呼んで照れてると思ったら、ソファー座って感慨深げだし。」



「ごめんなさい。」



「ホント、どれだけ俺のこと翻弄すれば気が済むの?」



「え?私が水野を翻弄してるの?」



水野が私を翻弄してるんじゃなくて?




「してるだろ。
 
 仕事落ちついて来たし、そろそろ告白しようかと思ってたら何か誘惑されて・・・・

 好きな女に誘惑されて、断りきれなくて、それでも一応けじめとして告白して、受け入れられたと思ったのに朝起きたらいないし。

 連絡先まで消されて、どうしようか悩んでたら、見合いしてるし。

 連れ出して、もう一回告白したら泣くし。

 実家に行ったら、一緒に帰りたくなさそうにしてるし、ダメかと思ったら、好きというし。
 
 やっと捕まえたと思ったら、ソファーに夢中だし。」



思わず言葉につまる。


確かにざっくりまとめられると、私がひどい女に聞こえる。



「ちょっと待って。水野、私に告白しようと思ってたの?」



さらっと聞かされた真実に、私は身をよじって水野の方を振り返った。



「っ」


その瞬間、水野の唇が私の唇と重なる。


「みっ・・・ちょっ・・・待っ・」


制止しようとする私を無視して何度も何度もキスをする。



身体ごと水野の方を向かされて、抱きしめられて、それでも水野はキスをやめない。



甘い刺激に抵抗する気がなくなって。




私も水野の首の腕を回した。
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