こじれた恋の終わらせ方
九条に再会したのは、就職してすぐの同窓会だった。


仲の良いメンバーでは大学時代に何度か集まったが、大掛かりなのは初めてで、久しぶりに会う顔ぶれに高校時代に戻ったようだった。


「あれ、誰だろう?」


連れのその言葉に、そいつの視線を辿れば、そこには背の高い、スーツを着た女性が会場に入って来るところだった。


「あんな子いたっけ?」

首をかしげる連れの言葉を無視して、その女性に釘付けになった。



「九条・・・」


「え?九条ってあの九条?ウソだろ?あんなに綺麗に・・って水野?」



何かを言い続ける連れを無視して、俺は目があった九条に手を振って、九条に向かって歩き出した。



九条に近づくにつれて自分の鼓動が早くなるのがわかる。


それを悟られないように、平静を装って九条に話しかけた。


「よぉ、九条。遅かったな。」


「うん。ちょっと仕事で。」



そう言って笑った九条は高校時代の面影を残したまま、綺麗になっていた。



「何?」


「いや、やっぱりちゃんと綺麗になったなと思って。」


そう言って、思わず九条の頭を撫でた。


「な、何言ってんの?!」


動揺する九条を置き去りにして俺はその場を立ち去った。



平静を装いながら、俺は激しく動揺していた。


バクバクと音を立てる心臓の音を聞きながら、さっきの九条の顔が頭から放れなかった。



「麗華が好きなのよ。」



のぞみの言葉が頭の中をグルグルと回っていた。

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