こじれた恋の終わらせ方
「いや、結婚はいいんだよ?真尋ももう28だし?大人だし?でもさぁ~やっぱりさ~」


段々酔っぱらってきたのか、水野の話は同じところをグルグルしている。



「旦那は?どんな人なのよ?」


「・・・いいやつ。」


「良かったじゃん。」


「まぁな。・・・・でもさぁ~」


呼び出されてかれこれ2時間以上。


周りは、一人でお酒を楽しむ大人か、甘い雰囲気が漂うカップルばかり。


何で私はこんなところで、シスコン男の愚痴を聞かないといけないのか・・・。



こんなことしてる場合じゃないのに・・・。



思わずため息が漏れた。



「ん?どーした?お前も悩み事か?」


そう問われて水野の方を見た。


少し赤みのさした顔は、決してみっともない酔っ払いなんかじゃない。

むしろ、いつもより少し無防備で色気すら漂っている。



「別に・・・」


正直に打ち明けられるはずもなく、適当にごまかそうとすると、ほっぺをつんつんとされた。



「また、そんなこと言って。お前ってさ、マジで悩んでるときほど隠そうとするよな。

 どうでもいいことはベラベラしゃべるくせに。」



その言葉に、ぎゅっと胸が締め付けられる。


そんな、私のこと理解しているようなことを言うのは辞めてほしい。


もういい加減、この思いに終止符を打たなければいけないと思っているのに。
< 6 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop