こじれた恋の終わらせ方
「すごい・・・」


何にもわからない私は、ただ水野について行った。


そういうホテルに移動するのかと思ったけど、そんなことはなく、飲んでいたバーのホテルの一室についた。



正面は大きな窓。高層だとわかる街の夜景。


広い部屋には大きなソファーやテレビがある。



「ねぇ、この部屋一泊いくら・・」


思わず振り返って尋ねようとすると、水野にキスで遮られる。



「そんなこと聞くな。」


今までにないくらいに至近距離でささやかれ、私は無言で頷いた。


「いい子だな。」


そう言われて、またキスをされる。


ファーストキスではないけれど、経験の浅さと、前にしてから時間がたちすぎているせいで、どうすることもできずに固まる私。


「九条、今なら引き返せる。」


真剣な目で見つめられる。


私は首を横に振った。


かわりに水野の服をギュッと握って、自分から唇を重ねた。


その行為は、水野の何かスイッチを押してしまったようだった。


さっきより深くなるキスに自分とは思えない声が漏れる。



水野は私をベットに優しく横たえると、耳元でささやいた。



「麗華、愛してるよ。」


その言葉に、涙が出た。


「マジだからな?信じろよ?」


そう言われて頷いた。


わかってるよ。


勘違いしたりしない。それが水野の優しさだって。


酔った勢いで体を重ねるなんて、私らしくないと思ったんでしょ?


だから、気を使ってそんなこと言ってくれたんだよね?



ありがとう。


その優しさに甘えて、今夜だけ、あなたの彼女でいさせてください。


< 8 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop