Mysterious Lover
いつも、どれだけ拓巳がわたしにかまってきていたか。
どれだけわたしに、視線を、気持ちを向けて。
特別に接してくれていたか、ってこと。
あれ……
うっとうしくなくて、清々するはずなのに。
なんで?
なんでこんなに……胸が痛い……。
心臓がむき出しになったみたいに、ズキンズキンて……
贅沢だな。わたし。
あの優しさに、包み込まれるような心地よさに、いつの間にか慣れてしまっていた。
まるでそれが、当たり前のことみたいに。
でも……これでいいんだ。
普通の同僚。これがわたしの望んでいた形。
だから、これでいい。
そうだ、工藤さんが来たら、彼にストーカーのこと話そう。
きっと工藤さんなら相談にのってくれるはず。
そうしよう。
口の中でつぶやいて、パソコンのスイッチを入れた。