Mysterious Lover
◇◇◇◇
外出予定のない日は、時計の針がゆっくり進むような気がする。
その日はなんだかいつも以上に遅々として作業が進まなくて。
わたしは苛立っていた。
さっきからフロアの一角で響き渡る甲高い声も……耳障りで仕方ない。
「えぇそうなんですかぁ?」
声の源は経理課。
数名の女子社員が、拓巳を囲んで談笑中の模様。
「えーじゃあ、今度一緒に行きましょうよ!」
「いいよ」
「きゃああやったあ!」
別に……気にしない。
気になんかならない。なるわけない。
「ねえねえ、昨日の撮影、何かあったわけ? 今日全然口きかないじゃないあんたたち。いつもめちゃくちゃ絡んでるのに」
翠がわたしを覗き込む。
「……別に何もないよ?」
「ほんとかなあ。カメちゃんはカメちゃんで、いつも以上に笑顔のバーゲンセールだし」
「ね、オオタフーズの本文、もう流してくれた?」
パソコンから目を離さず、翠の言葉を遮るように言った。
外出予定のない日は、時計の針がゆっくり進むような気がする。
その日はなんだかいつも以上に遅々として作業が進まなくて。
わたしは苛立っていた。
さっきからフロアの一角で響き渡る甲高い声も……耳障りで仕方ない。
「えぇそうなんですかぁ?」
声の源は経理課。
数名の女子社員が、拓巳を囲んで談笑中の模様。
「えーじゃあ、今度一緒に行きましょうよ!」
「いいよ」
「きゃああやったあ!」
別に……気にしない。
気になんかならない。なるわけない。
「ねえねえ、昨日の撮影、何かあったわけ? 今日全然口きかないじゃないあんたたち。いつもめちゃくちゃ絡んでるのに」
翠がわたしを覗き込む。
「……別に何もないよ?」
「ほんとかなあ。カメちゃんはカメちゃんで、いつも以上に笑顔のバーゲンセールだし」
「ね、オオタフーズの本文、もう流してくれた?」
パソコンから目を離さず、翠の言葉を遮るように言った。