Mysterious Lover
「うん、なんとなく似てる気がする。たれ目なとことか」
「ややめてよっ!」
「ほら、ペットって飼い主に似るっていうし」
「マロはただのゆるキャラだし!」
はははははって明るく響く拓巳の笑い声。
わたしもつられて笑ってしまう。
「……よかった」
「え?」
「笑ってくれた」
ああ、そっか……。
きっと拓巳は、わたしのことを気遣って、わざと冗談言ってくれたんだ。
なんだろう……。
彼と話していると、嫌なこと全部吹っ飛んじゃうみたい。
心地よくて、すごく落ち着く……かも。
拓巳はマグカップをテーブルに置くと、隣のわたしに体を向けた。
「ねえ、もしかして、これが初めてじゃないんじゃないの?」
う……鋭い。
少しもブレない彼の真剣な目に、わたしは迷いつつも口を開き、今まで周りで起きたことを話し始めていた。
昨夜、階段から落ちた時、誰かに背中を押されたことも含めて。