Mysterious Lover
「それはその、たまたまそこに、いたから……」
田所と翠が顔を見合わせてる。
「そうだね……うん、すぐ話すね」
「おう、そうしろそうしろ。どう対応するかで、そいつが体目当てかどうか、きっとわかるぞ」
か、体目当て……って、それはないと思うけど。工藤さんに限って……ねえ。
とにかく、早く工藤さんをつかまえて話して。
そう思ったのだけど……。
◇◇◇◇
フロアに戻った後。
工藤さんのデスクへ足を向けると、パソコン画面を見ていた彼が気配に気づいたのか、顔を上げた。
視線が……交差する。
途端。
反発しあう磁石みたいに、わたしはくるり、回れ右していた。
何? これ、何?
なんで?