Mysterious Lover
「え……?」
わたしと拓巳は再び顔を見合わせる。
何? 故障?
そして。
パチパチっと蛍光灯が何度か瞬いたかと思うと、ふいにすべての光が消え失せて、完全に真っ暗になってしまった。
「ちょ……何これ……停電?」
何も見えないじゃないっ!
拓巳がわたしの腕をギュッとつかむ。
「奈央さん、動かないで」
「う……うん」
がっくんっ——
もう一回、床が大きく揺れ動く。
「や……っ」
そのまま、ガクンガクンッってさらに大きく揺れて……このエレベーター、落ちてるっ!?
嘘でしょっ落ちるの!?
「きゃあああああっ!」
「奈央さんっ」
拓巳の腕が暗闇の中でわたしを強く引き寄せる。
わたしはそのまま、拓巳の腕の中へ。