Mysterious Lover

がくガクッ!!

永遠にも感じた落下の後……


また箱全体がドン! って激しく揺れて。
……そしてやっと、エレベーターが停止した。

停まった……?

そのまま、暗闇の中に沈黙が……落ちる。

どくんどくんどくん——

もう、終わったの?

心臓が口から飛び出そうなほど、巨大な音で脈打ってる。
汗が……噴き出す。
気持ち悪い……。

「はあ……はあ……っ」


「……奈央さん? 止まったみたいだよ。……大丈夫?」
拓巳が上半身を起こして、わたしを覗き込む気配がする。

わたしの体はフリーザーに放り込まれたみたいに凍り付いて、頭を抱えたまま動けなかった。
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