Mysterious Lover

絶対、これ、あいつの仕業だ……。

——そういうの、エスカレートするって言うしな。

何よ……なんなの、こいつ、絶対普通じゃない!
なんで、こんなことできるの?

何者なの!?


「っくそ……」
ふいに、うめき声。

「拓巳ッ? どうしたの?」
見えないけど、彼が顔をしかめてるのがわかる。

「ん。平気。倒れた時、ちょっとぶつけたかな」
そろりと体を起こして、怪我を確かめているみたい。

「どう? 大丈夫?」
上半身を起こして、暗闇の向こうに必死に目をこらす。

「大丈夫大丈夫。そんなヤワじゃないって」
軽く言うけど。
でも、拓巳がわたしのために……って、これが初めてじゃない。

駅の階段で。
あの時も、拓巳が下敷きになってくれて。
怪我がなかったのは、単に運が良かっただけで。
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