Mysterious Lover
え。
ばばばばかっ
なんか今、何かしてほしい、みたいな感じで言わなかった?
欲求不満みたいなことっ!
案の定、拓巳がにやって笑った気配がする。
「していいの? してほしかった?」
「や……べ、別に、そういうわけじゃ……なくて。あの」
恥ずかしくてたまらなくて、体を離そうとするんだけど、拓巳の腕はきつく回されたまま。わたしの思惑を許してくれない。
くすくすって笑って、拓巳はわたしの髪を優しく漉いた。
「昨夜のこと言ってるなら、あれは奈央さんのせいだよ」
「は? わたしの!?」
わたし、何かやらかしたっけ?
「奈央さんがかわいすぎるから」
「はい?」
「初めて奈央さんち入って、テンションあがりまくりの上、泣いてる奈央さんはめちゃくちゃかわいくて。あの状況で理性保てる奴って、神でしょ」
「はあ……」
「あのままキスしてたら、オレ、絶対タガはずれてた。奈央さんが嫌がろうが抵抗しようが、無理やり自分のものにしてたと思う」