Mysterious Lover
泣きそうになってる自分に気づいて、わたしはグイッて目元をぬぐった。
胸の奥、黒い霧がぶわって湧き出したみたいに、気分が悪かった。
これじゃまるで嫉妬だ。
わたし、嫉妬してるの……?
早く、早く外に出たい……。
わたしは店内を闇雲に走り抜ける。
でも……あれ?
出口、どこ?
こっち……じゃなかった?
奥行きのある店内、フロアいっぱいにボックス席が入り組んでいて、まるで迷路みたい。
どこから来たのか、どこが出口なのか、わたしはあっという間に方向を見失っていた。
どうしよう……
誰かに聞いた方がいいかな。
そう思いながら歩いていたら。