Mysterious Lover

指摘されて、わたしはこくんて、うなずいた。
うちには更衣室やロッカーなんてないから、みんな自分のデスクに持ち物を入れてるはずだ。

鍵もかけてないから、確かに何かしようと思えば、誰にだって可能ってことになる。

え。
まさか、もうカバンに何か……


「この会話も、聞かれてるかもね?」
わたしの頭の中を読んだみたいな拓巳の言葉に、ぞくっと寒気が走る。

「や……やめてよっ」
カバンを引き寄せて中を探ろうとしたわたしの手に、拓巳の手が重なった。

「……拓巳?」

「聞かせてやろうか」

「は?」
あっという間にカバンが奪われ、床に落とされる。
そして。
わたしの体はふわり、ソファに押し倒されていた。
「たた拓巳っ!?」

「オレと奈央さんの、イイ関係」

「ちょ……たくみっ! 約束したでしょ、嫌がることしないって!」

「しないよ。奈央さんが嫌なら、ね?」
その顔に浮かぶのは……にやり。確信犯的笑み。

う。や、やられた……っ。
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