Mysterious Lover

その姿が十分遠ざかってから、ふぅううってみんな、一気に肩の力を抜く。

「どうしたんだよ部長。今朝はやけに機嫌悪いな」
「珍しいよな、部長のあんなテンション。てか、初めてじゃね？」
「お前なんかやらかしたんじゃねえの？」
「ええっおれ！？」

ウェブチームがぶうぶう言い合いながら仕事に戻っていく。

「奈央のせいじゃないよ」

翠がわたしの肩をたたいた。

「うん……」
でも、やっぱり……早く話をした方がいいよね。

わたしは工藤さんの姿を追った。


◇◇◇◇
「工藤さん」
社内を探して歩き、ようやく自販機コーナーでボタンを押してる彼を、捕まえた。

「ん？　どうした？」
視線を……合わせてくれない。

「あの、今日、お昼ご一緒しませんか？」

「昼？」