Mysterious Lover
20. 対決
と、思ったのに——

『今夜は遅くなるから』

返ってきたラインの返事を見て、わたしはがっくり、項垂れた。


あれから毎日工藤さんをつかまえようとしてるんだけど、新規事業が大詰めとかで、そもそもなかなか社内で姿を見かけなくなってしまった。

そして、とうとう……金曜日。

焦れてラインを送ってしまったんだけど、だめだった。
今夜会って話そうプランはNG。


さすがにここまでくると……

「避けられてるね」

「う……やっぱり翠もそう思う?」

わたしは左隣のデスクを見る。

定時をとっくに過ぎたこの時間、フロアの社員は大部分退社していて、制作部のメンバーが数名残っているだけだった。

「誰が見てもそう思うでしょ」

「……だよね」
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