Mysterious Lover

「はい、沢木です」

『…………』

え。

やだ……もしかして、ほんとに無言電話!?
嫌な予感、ど真ん中、的中ってこと?
わずかに鼓動が速くなる。

ごくって息をのんで。
「あの、どちら様ですか?」

『…………』
無言が続く。

わたし、なんか、だんだん腹が立ってきちゃった。

こっちは連日の深夜残業でくたくたなの!
昨日なんかシャワー浴びる時間も惜しんでベッド入ったけど、それでも3時間しか寝れてなくて。
女子捨ててるって、同僚に笑われてるのよ!?

『…………』

おいおいおい、いい加減にしなさいよ!?
通話を切ろうとして……わたしはふと、耳をそばだてた。
スマホを耳にギュッと押し当てる。
電話の向こうで何かが、聞こえたような……?
何の音?
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