Mysterious Lover

それに、あいつから電話がかかってきた時、拓巳と一緒にいたこともある。

……でも。


誰か協力してくれる人……共犯者がいれば、可能かも。


でもほら！
必死で何かにすがりたくて、思考を強制的に動かす。

一番最初の無言電話、あれは拓巳に出会う前だったよね？　
拓巳の入社日前日だったはず。

——少なくとも２週間はたってる。
——あいつが面接に来た時、時間があったから社内を案内してやったんだ。その時に、あいつ、お前を指して、俺に聞いてきたんだ。『あの人も制作部ですか』ってな。だから、もしかしたらその時からお前に目を付けてたのかもな。

工藤さんの声がよみがえる。

わたしは唾を飲み込んだ。
口の中が乾きすぎて、なかなか飲み込めない。

もし、もしも……拓巳が……ストーカーだったら？
拓巳が全部、仕組んでいたとしたら？

つまり……自作自演、だったとしたら？