Mysterious Lover
出口……出口は、どこ? どっちから来たの?
わたしはめちゃくちゃに、とにかく走り続けた。
「奈央さん!」
足音が、すぐ後ろまで迫ってくる。
「奈央さん、待って! とにかく外出よう!」
すぐ後ろ、拓巳の気配がする。
追いつかれるっ!
ガサッ!
……え?
何か、音が聞こえたような気がして、わたしは一瞬足を止めて視線を上げた。
そして。
「危ないっ!!」
強い力で突き飛ばされ、わたしは地面につんのめるように倒れ込んでいた。
ガラガラガラ——!!!
背後でものすごい音と振動がして、わたしは倒れたままギュッと目をつぶった。