Mysterious Lover

中を探って。探って。

そして。

「あ……った……」

“それ”を取りだす。


マグカップ。マロマロンの。


——これ、オレ専用ね。

——なんかさ、こいつ、奈央さんに似てない? たれ目のとことか。


「ふ……っ」


ポタポタ……ッ……

真夜中のゴミ捨て場。
コンクリートの上、涙が黒く、染みをつくる。

なんで?

なんでわたし……こんなに泣いてるの?

なんで……なんでよぉ……

わたしは、マグカップを胸に抱いて、泣き続けた。
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