Mysterious Lover
◇◇◇◇
次の日——
朝からわたしはピリピリしてた。

周りの会話も、うわの空だ。
頭の中に全然入ってこない。

今日からは、普通に同僚として拓巳に接しなきゃならない。
そのことが、わたしの心を重たく占めていた。

できる……?
ううん。
できるかどうかじゃないでしょ。やらなきゃ。

ホワイトボードを確認すると、拓巳は今朝立ち寄りが1件あるから……11時出社予定。……もうすぐだ。

手のひらが……汗でべたついてる。
なんでこんなに緊張するのよ。

あいつがどういうつもりで近づいたにしろ、もう関係ない。
ただの同僚になるだけ。

そう思おうとすればするほど、落ち着きが失せていくみたいで。
わたしは何度も腕時計で時間を確認する。

「沢木さーん」

エントランスの方から声がして首をのばすと、加藤ちゃんが手を振っていた。
「荷物届いてますよぉ」
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