Mysterious Lover

隣にいるのは、宅急便屋さんみたい。
傍へ行くと、大きな段ボール2個が乗った台車を押したお兄さんが頭をさげた。
「お荷物2つになります」
送り状を確認すると、西部電機の清水さんからだ。

「これ、なんですかぁ?」
「来週撮影で使う、オーブンレンジ」
エントランスの向こう、エレベーターホールの方をチラチラと気にしながら、わたしは答えた。
もう……そろそろ来るかな。

「へえ、大きいですねえ」

こちらへサインをお願いします。とお兄さんに促され、伝票を受け取った時。


ザワッ——


一斉に、社内がざわついた。
みんな、驚いたように自分のパソコンを覗き込んでる。

え……?

——ちょっとこれ、何? 見た?
——見た! 
——これ、亀井だろ?
——どういうことよこれ?
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