Mysterious Lover
わたしはブンブンって首を振った。
そうだとしても、別に関係ないじゃない。
誤解したきゃ、させておけばいいのよ。
もう……関係ないんだから。
「あのぉ……申し訳ないんですが、そちら、返していただいてもよろしいですか?」
小さな声にハッと我に返ると、申し訳なさそうな表情の宅急便のお兄さんが、わたしの手を指してた。
わ。
忘れてたっ!
わたしは思いっきり狼狽しながら、くちゃくちゃに握りしめてしまった伝票を手の中で伸ばした。
「ごごごめんなさいっ!」
「いえいえ。それで結構ですよ。で、こちらの荷物は、どちらに置きましょうか?」
「あ、えーと……じゃあ1個はここに。もう1個は倉庫にお願いしてもいいですか?」
「かしこまりました」
「あれ、沢木さん、2個とも使わないんですか?」
加藤ちゃんが首を傾げる。