Mysterious Lover

あいつのことなんか……もう……

きつく目を閉じる。……けど。

きらめく光の渦は瞼の裏に焼き付いて、なかなか消えてくれなかった。


◇◇◇◇
「うわ、すっご……!」
思わず叫んじゃった。

「これって、スペアリブですか?」

「ん。スペアリブのトマト煮と、クリームチーズとアボカドのサラダ」

テーブルの中央には、バゲットが盛られたバスケットと、ゆらめくキャンドル。
SNSに掲載でもしないともったいないような、プロ顔負けのパーフェクトな食卓だった。

「どうぞ。召し上がれ」

「ありがとうございます。いただきます」

わたしたちは赤ワインがつがれたグラスを触れ合わせた。

スペアリブをさっそく口へ運ぶと。
「ん〜やわらかっ! え、なんでこんなに柔らかいんですか!? あんな短時間で!」
< 247 / 302 >

この作品をシェア

pagetop