Mysterious Lover
あいつのことなんか……もう……
きつく目を閉じる。……けど。
きらめく光の渦は瞼の裏に焼き付いて、なかなか消えてくれなかった。
◇◇◇◇
「うわ、すっご……!」
思わず叫んじゃった。
「これって、スペアリブですか?」
「ん。スペアリブのトマト煮と、クリームチーズとアボカドのサラダ」
テーブルの中央には、バゲットが盛られたバスケットと、ゆらめくキャンドル。
SNSに掲載でもしないともったいないような、プロ顔負けのパーフェクトな食卓だった。
「どうぞ。召し上がれ」
「ありがとうございます。いただきます」
わたしたちは赤ワインがつがれたグラスを触れ合わせた。
スペアリブをさっそく口へ運ぶと。
「ん〜やわらかっ! え、なんでこんなに柔らかいんですか!? あんな短時間で!」