Mysterious Lover
腕時計を見ると、まだ10時。
あと1本飲んでも、終電には十分間に合う。
わたしは前に一度入った記憶をたどってワインセラーのドアを開けた。
片側の壁に沿って、わたしの視線くらいの高さの棚がずらりと作りつけられてる。
どの棚にも整然と、ピカピカに磨かれ、クリスタルのように輝くボトルが並んでいて。
相変わらずすごい数。
わたしは全然詳しくないから、このコレクションのすごさも理解できなくて、申し訳なく思ったっけ。
左の一番上、言われた通りの場所にあったボトルを手に取る。
ロゼだから、きっとこれのことよね。
それを手にして、再び廊下へ出る。
来た道を戻ろうとして……。
あれ?
廊下の奥が……淡くブルーに光っていることに気づいた。
まだこの先にも部屋があったんだ……。
ドアが開いているせいで、中の光が外に漏れてるみたい。
何だろう?
寝室はダイニングの隣のはずだから……こっちは何の部屋だろ?
好奇心から近づいてみる……と……。