Mysterious Lover

ピチョンピチョン……ピチョンピチョン……


絶え間なくしずくが垂れていた。


ピチョンピチョンピチョン……


コポコポコポコポ……


聞き覚えのある、音だった。

それは、忌わしい、デジャヴ——


どくんっ——!


心臓が次第に大きく、激しく鳴り出す。

この、音って……

なんか……似てない……?
あの、電話の向こうで聞こえた、音に。

どくんどくん……

耳の奥、脈動する血液の音が轟いてるような。

どくんどくん……

まさか、まさか。
そんなこと、あるはずない。
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