Mysterious Lover

すると、
網膜に一人の女性が像を結ぶ。


——誠司さん、拓巳、そろそろ帰りましょう。


高めの、愛らしい声。



ああ……そうか!

この人……拓巳のお母さんだ!


公園に、拓巳とお父さんを迎えにきていた姿を思い出して。

でも……ちょっと待って!
じゃあ……つまり。

頭の中を覆っていた何かが、次第に晴れていく。
クリアになっていく。

「あなたが後悔させたい、『あの男』っていうのは……」

祥子に手を出した、「あの男」っていうのは……
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