Mysterious Lover
でも。
「そうだな。でもな、犯人探しは、お前が失踪したことに皆が気づき、捜索が始まり、遺体が発見されて、それから始まるものだ。そのころには、俺はもう日本にはいない」
工藤さんの手が、わたしの腕をつかんだ。
工藤さんが、わたしに馬乗りになり、体重をかけてくる。
「いやっ!!」
グイッと、工藤さんの両手が、わたしの喉を締め上げた。
引きはがそうと思いっきりその腕に爪を立てたけれど、分厚い筋肉はひっかくことすらできない。
わたしは足を必死にばたつかせた。
でも、その重量感には一瞬も変化はない。
「みんな……みんな、工藤さんのこと、尊敬して……ついてきたのにっ!」
悔しくて、悔しくてたまらなかった。
今まで積み重ねてきたもの……がんばって、必死に……最高のチームだと、仲間だと思っていたのに!!
わたしたちの思いは一体なんだったの!?
口惜しさと虚しさと怒りが渦巻いて、涙もでなかった。
「やるからには徹底的にやる。俺は完璧主義なんだ」
手に力が加わる。
「く……っ……」