Mysterious Lover
くるし……!
すでに抵抗する力もないわたしを、勝ち誇ったような工藤さんが見下ろしていた。
「最期にいいことを教えてやろうか」
ささやくような声が降ってきた。
「拓巳がホストをやってたのは、お前のためなんだぞ」
「……え?」
「あんまり奈央さん奈央さんってしつこいから、俺が冗談で、1000万よこせば手を引いてやってもいいっていったら、あいつ本気にしやがって。クソまじめな奴め。外見だけじゃなく、そういう中身まで、あいつは祥子にそっくりだ」
——あいつがホストやってる理由。女のためだっていう噂があって。
——言ったでしょ。金がいるんだって。
わたしの……ため?
「あいつなりに、罪滅ぼしのつもりだったんだろうな。一応、他人の家庭をぶち壊した自覚はあるようだ」
——え?
一瞬、
息苦しさも忘れて、わたしは天井をぽかんと見上げた。