Mysterious Lover

あ……


「待ちなさい! あとはこっちに任せなさい!!」


鋭い声が響いて、複数の足音が室内に駆け込んできた。

紺色の、制服。あぁあれは。

警察だ……


拓巳から引きはがされた工藤さんは、3人の警察官に拘束された。
拓巳は悔しそうにそれを見つめて。
そしてわたしを振り返った。


「奈央さん!」

拓巳がわたしの上半身を抱き起してくれる。
ゼイゼイって……まだ荒い息をついていたわたしは、力強い腕に思いっきり抱きしめられた。
「よかった無事で……」

本物……?
本物の、拓巳なの?

「おいっ! 人の家に勝手に……不法侵入で訴えるぞ!」

警官の腕をふりほどこうともがきながら、工藤さんがわめく。
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