Mysterious Lover
「アメリカ……行くんだって?」

「うん」

「そっか……。拓巳だったら、きっと成功する。だからがんば」

「奈央さん」
拓巳が、遮るように、わたしの名を呼ぶ。

「な……に?」

「言わないままアメリカ行ったら、また後悔しそうだから。ちゃんと言っとく」

「え?」

すうって、拓巳が大きく深呼吸する。そして、わたしを真正面から見つめて、口を開いた。



「奈央さん……あなたが、好きだ」



どきんっ——……!




「っ……何、言ってんの。もういいから。もう全部終わったじゃない。お芝居なんてしなくていいんだってば」

わたしが言うと、拓巳は「はあ」って肩を落とした。
「やっぱり、誤解してる」
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