Mysterious Lover
「メリークリスマース!!」
突然フロアに響き渡った大声に、何事かとみんなが顔をあげると、田所が大きな袋をいくつも両手にぶら下げて立っていた。
「おつかれ〜」
口々に声をかけると、田所はにぃっと笑って、袋を掲げて見せた。
「ほおら、亮ちゃんサンタから、プレゼントだぞっ!」
「ええっ!?」
袋をのぞきこんだ川西さんが、「うわあこれ、ケーキですか!?」って歓声をあげる。
翠は手を伸ばして、袋を一つ奪い、中に入っていた大きな箱を取り出した。
箱を開けて、呆れたように言う。
「何よこれ、思いっきり今日の撮影商品の余りもんじゃないの」
「う……バレたか」
決まり悪そうに頭をかく田所だったけど、すぐに気を取り直して胸を張った。
「でもなっ味は保証するぞ! どれも限定品だからな」
それから、突然、「沢木!」ってわたしを呼ぶ。
「は、はいっ?」
「お前にはこの、とっておきのプレミアムケーキを食わせてやろう! 1日なんと限定15個だぞっ! ちょ〜お貴重なんだからなっ!!」