Mysterious Lover
コポコポコポコポ………
それは小さく、くぐもって響く水音のようだった。
それから……その音に交じって……
ピチャン……ピチャン……
しずくが垂れる音、かな……?
瞬間……
心臓が冷たい手に触れたように、体が硬直した。
たぶん、今、わたしの顔は真っ青だ。
ピチャン……ピチャン……
その音が、記憶の奥底、しまい込んだあの日を、引きずり出すみたいで……
ブチッて、通話をオフにした。
心臓が、バクバクって波立ってる。
嫌だ……なんなのこれ。
ガサッ……
物音にびくついて顔を上げると、工事現場の柵の向こう、青いビニールシートが揺れていた。
後ろを振り返っても誰もいないのに、人影はないのに、まるで誰かに見られてるみたいな……。
視線を感じるような……?