Mysterious Lover
わたしは慌てて歩き出した。
やだやだ、こんな道通るからいけないのよ。早く大通りにでなくちゃ。
ギュッとカバンを持つ手に力を込めて、歩き続ける。
誰か……後をつけてくるんじゃ?
音、なんか聞こえる気がしない?
足音?
それとも……しずくの、音?
ピチャン……ピチャンて……?
気のせい、気のせいよ!
わたしは足を速めた。
早く、早く、あの角を曲がったら、少しお店もある通りに……
もつれそうになる足を必死に前に出した。
脱げそうになるパンプスを、引きずるようにして走って。
心臓がバクバクバクバク、フル回転してる。
怖いっ……!!
もう少し……もう少し!
そして前方に……やっとコンビニが見えて。
わたしはそこに飛び込んだ。