Mysterious Lover
7. 不純な会議室
「はい、もしもし」
『奈央?』
「うん、お母さん。どうしたの? こんな朝早く」
スマホを肩と顎ではさんで固定すると、お気に入りのマグカップにコーヒーを注いだ。
香ばしい香りが立ち上り、朝の眠気を払ってくれる。
『だって奈央なかなかつかまらないんだもの。元気でやってるの?』
「うん、大丈夫。取材と撮影が立て込んでて、ちょっと忙しいけどね」
パンをトースターにセットして、タイマーを回した。
『お盆帰ってこなかったでしょ。お正月はどうなの?』
「たぶん大丈夫」
『そう? じゃ、待ってるから』
「うん」
『そういえば、千代子おばさんがね、奈央に紹介したい人いるらしいんだけど』
「お見合いは嫌だって、何度も言ってるでしょ」
『でも、奈央、誰も連れてきてくれないじゃないの』