Mysterious Lover
別に、あなたがどこで誰に愛をささやこうが、愛を交わそうが、わたしには関係ない。
関係ないわよ。
興味もない。
なにこれ。やだな……
なんでこんなにイライラしてるんだろう。
理由は……
あまり考えたくなかった。
だってなんだか。
拓巳のことを気にしてしまっているって、認めるみたいで。
その時、唐突に。
後ろからぐいって腕をつかまれて、わたしは無理やり振り返らされた。
「な……拓巳?」
「ちょっと、顔貸してください」
「な……」
何よこれ、なんでこんな連行されてる、みたいなっ……
抵抗を試みたものの、予想以上に拓巳の力は強くて。
「ちょ……ちょっと、放してよ! みんな見てるじゃないっ」
あっけにとられる同僚たちの目の前を通り過ぎ、拓巳はわたしを会議室に連れ込んだ。