Mysterious Lover

「い、いらないわよっ!」

「遠慮しないで」

してないっ!!

そのままテーブルに押し倒される格好になって、わたしはぐぐぐって腕をつっぱって彼の胸を押しやった。

「ちょっ……冗談やめてってば!」

「冗談なんかじゃない。オレ、こういうチャンス、ずっと狙ってた」

「はっ!?」


「奈央さんと、二人きりになるチャンス」


思わず息をのんで、拓巳を見つめてしまって……


「好きだよ、奈央さん」
ささやきが、わたしの唇へ近づいていく。



体が……しびれたみたいに動かない。


これ、かなりまずいんじゃ……。

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