Mysterious Lover
◇◇◇◇
「あああの工藤さん、ちょ……工藤さん?」
工藤さんは屋上へ続くドアを開けると、わたしの腕をつかんで引きずるように歩いた。
うちのビルの屋上は、テナント企業の社員すべてに開放された、リラックススペースで。
花壇や芝生が整備されていて、公園のような憩の空間になっている。
お昼時には、お弁当を持ち込む人でにぎわうけど、就業時間中だとそれほど人の姿は多くない。
背の高い植木の影に連れ込まれたわたしは、強い力で引き寄せられて、工藤さんの胸の中につんのめるように倒れ込んだ。
「く、工藤さん!?」
体を起こすと、そのまま顎を捉えられて上向かされ……瞬く間に唇がふさがれていた。
「あ……くどっ」
熱く、強く、押し付けられる唇に、くらくらしてしまう。
「何してたんだ?」
下唇に、工藤さんが甘くかみついた。
「え?」
「亀井と2人きりで、会議室で何してた?」
あ……見られてた……